沼底日記

ハッピーエレメンツさんのゲームを中心にプレイ中。現在はメルストコラボ出身のあんスタプレイヤーです。(※当ブログの記事は全て個人の主観に基づいて書かれています。)

【第2回】物語を読むための補足メモ(筆者の覚書)

第2回は筆者が調べ物をしている内に得た「気付き」を「覚え書き」として纏めています

【推測メモ①】天城一彩君の発言から読む天城村の概念

推定結論

・天城村は中世の武家っぽい体制なのでは?
天城一彩は自力救済の掟の影響を受けているのでは?

・本記事ではとりあえず筆者が読み取れた「体制・体質」だけを列挙します

 

作中ヒント
①弟は兄に絶対服従という教え 
・中世の武士や氏族政治国家でよく見られた考え方です
・家長と嫡男が特権階級でその他は臣民です

・脳=家長・長男でその他は「臓器」みたいな物として扱われます


織田信長を知らない一彩・迫害された落ち武者の末裔?

・政治闘争に敗れた落ち武者の末裔であるという暗示があります
織田信長の存在を知らない事から戦国時代以前に政争に敗れた氏族である可能性

③仮想北海道のようなイメージ

・鎌倉以降流刑地だったのが蝦夷地です
・政争に敗れた武家一派(平/家とか源/義/経)、そんな印象のイメージで作られているのではないかな、と予想します

天照大神拳の使い手

・天城氏族の祀る主神は天照大神では、と予測されます 

⑤一彩の発言から推測される分業体制

・中世ではよく見られた考え方です 
・仕事を分業することで自由時間と個人の生き方を守ろうという意図の元生まれた考え方です 

⑥天城燐音と天城一彩の赤い髪

・赤は清め・厄を払うの意味があります 
・天災を避けるために神事を司ってきた氏族の可能性があります

⑦大人達から殴られていた事を当たり前のように話す一彩

・自警団のような軍隊があるらしく、そこに適応できるように訓練していた可能性が考えられます

・中世の子供の成人年齢は7歳ぐらい 早期自立を促されていた可能性があります

⑧謝る時にすぐに自分の身を差し出す一彩・やけに正しさに拘る一彩・生贄根性

・中世~戦国時代や中世ヨーロッパに見られた自力自助・自力救済の掟が染みついている可能性があります
・強い国家や法による支配のない国家では自力自助・自力救済という掟がありました

・自力救済とは他者の身内の権利を侵害した場合は自分や身内の命を1個差し出さなければならないという等価交換の掟であり、私情を挟んではいけない義務のようなものとして存在します

・中世はこの自力救済と天罰(悪い事をすると神様が怒るよ等の教訓説話)などの掟を個人個人に徹底する事で相互の権利侵害を防ごうとした時代背景があります

・生活が苦しくても神様が怒るので略奪を行ってはいけない、とかそんな感じです

(天城一彩くんの第1部一連の謎行動は義務感の発露でもあるかと思います)

★小休憩(なぜ村・掟・自力救済概念が生まれたのか?)

・中世日本は社会的インフラが整っていないので農民はすぐに野党墜ちしたり略奪に走りました
・野党にも事情があります ですが農民も農地を荒らされてしまえばすぐに飢えてしまいます しかし農地を一生懸命に耕しても天災がくれば終わりです(このような背景から天災を避けるために神に祈る信仰や祭事が生まれます)

・領主側は領主側でなんとか農民の野党墜ちを防ごうとしますがインフラを整えるにしてもお金がかかります お金を稼ぐには農民も働かないといけません 働かないでいる人を養う余裕もありません
・農民を守る武士が必要です 武士が武力を持つ以上私権で武力を行使し私腹を肥やす可能性が捨てきれません 
・自領の武士が他領の武士の権利を侵害した場合は自力救済の掟に従い処罰をしないといけません 

そこで義務を果たさなければすぐやったもんがち・略奪したもんがちの世の中になる、という考えがあったからです

・集団の中でそんなの絶対おかしいよ!と憎悪をむき出しにしたり実際に行動に移す事は誰かの権利を侵害する事に密接に繋がっていました(怒りで隣人を処すとその村の農業の担い手が消えて村が崩壊するとかそんな様子です)

・人間の営みが円環のように密接に繋がっていたからこそ、掟や教訓を課して相互の権利を侵害しないようにしたり、村を作って乗り越えようとしたんですね

 

・集団の中にいる場合は致命的な喪失を防ぐことができます
・この致命的な喪失を防ぐための集団はあんスタの作中内で「中世型の臓器社会」という感じで表現されていると思います

(悪く言ってしまうと機能的村社会ですが、悪い所だけじゃなくそこにも生活があったし考え方が生まれる背景があったと読めるのが作中のミソかなと思います)

 

・天災等どうしようもない事情・中世独自の問題に向き合い、致命的な秩序崩壊を防ぎつつ、ある種殺し殺されあう関係から一歩引いた立ち位置にいたのが天城村なのではないか、というのが筆者の読みです


・最終的な刑罰や村の方向性の決定権は族長・及び嫡男にあるような形かなと推測します

・自警団持ち中立鎖国国家・君主中心の統治国家のイメージを持っています
・法規制がないので掟を王・臣民相互に徹底させ、相互の権利を侵害しすぎないしないよう、致命的な秩序崩壊を防いで約600年続けてきた鎖国王朝、みたいなのが筆者が読み取った天城村のイメージです

・天城村が現世から離れて隠れ住む事を選ぶようになった理由の一つには混沌とした世界の中で生命の安寧を求める、という切実な事情があったのかもしれませんね

 

・中世統治国家タイプの王朝の原則は相互利用・相互補助です
・君主が民の嘆願や願いを拒否し続ける事は暴動に繋がりますし、特権階級の剝奪に繋がります 
・臣民は君主を特権階級、最終的な意思決定を委ねる頭脳として敬う事で等価交換の義務を果たします

・これでイーブン(対等)な関係性とします

 

★筆者が読み取ったキーワード

「中世・臓器社会(脳(君主及び嫡男)とその他臓器の関係性)・長年の安寧・自力救済・それにまつわる淀み」

 

★少年、天城一

・メインスト一部・作中で天城一彩君が担ってきたお役目、というのを読み取れそうな情報から纏めます

・君主天城燐音君が天城村の頭脳として臣民に対する最終的決定権を持っていたのに対し、天城一彩に求められていたのは臣民と王の仲立ち役であったと予想します(個人的な自我を介さない伝達役)

・作中ではこのポジションの難しさがなんとなく読み取れます

天城一彩くんは次期君主の弟であり、補佐、影武者であり、弟でありながら唯一王の庇護する臣民でない身代わり、狭間の少年みたいな感じで書かれているのかな、とも思いました

★筆者の感想

・作中でも話題にありましたが、天城一彩くんは人の心が分からないのではなく、自分以外の人間を重んじるが故に里の自力救済っぽい掟に染まってしまい、里を円滑に回す臓器的な役割に徹している内に個人的な感情の受容体や自我意識が希薄になっている所があるのではないでしょうか?

(素直さが仇になったという話なのでしょうか?)

(人の善性を信じているし感謝もしているが個人から向けられる人情が臓器である自分宛てなのかよく分かってない時がある感じ)

・これが燐音くんのいう所の個人的な贈り物を素通りする一彩に繋がったのかもしれません


・燐音君は一彩君の兄になりたかったようですが、統治国家で兄が弟を大事にしすぎ・兄弟仲が良すぎだと国家運営の視点からすると国が傾きます
(日本神話・楊貴妃等も身内贔屓で国荒れたし)(武家の次男はよくお家動乱の元なります)
・色んな人の思惑が読み取れそうな描き方されてるな、と思いました(もしかして大人達は良かれと思って早期に自立させようとしたのかも…)
・そこがお兄さんとして息苦しかったのかもしれません

 

天城一彩F1:臓器の役割を果たせなかった(=自力救済の掟において他人の権利を侵害した)場合、頭脳=断罪判定の役割は君主の燐音さんにあったのかな、という主従関係を読み取りました 
天城一彩さんと天城燐音さんはお互いでしか理解できてなさそうな言語で喋っているような気がします。なので読み取るのが物凄く難しいし、多分この推論も合ってはいないんだと思いながら書いています

天城一彩さんに臓器・ALKALOID全体モチーフがタロットである事・タロットが中世社会から個人として脱却するために生まれたという背景・天城燐音さんに君主(=嫡男≒村の頭脳)という単語が宛がわれているので0点の気付きでないといいな…と思っています

 

【推測メモ②】生贄の精神、ALKALOID

・さて、本記事前半で天城村の体制予想から中世・臓器・生贄根性・自力救済・集団の中で生きてる自我が薄い臓器人間という考え方をざっと頭に入れて頂きました

・ALKALOIDさんは中世じみた生贄根性がしみついたり自我意識が薄い因果のあるメンバーさんが揃っているように見えるのですが、(風早巽さんも何かをしないと居場所がないというような奴隷生贄根性を垣間見せています)(白鳥藍良さんもフェザータッチ以降は自己肯定感の低さから似たような感情を持っていそうです)その集団の中で生きてる自我無し人間が生きるためのヒント、になるのもモチーフになっているトランプ=タロットカードなんです

 

★「集団の中にいる自我無し人間」はどうしたらいいのか?

・ここでALKALOIDが生き方を見つけるヒントとして採用されているのがモチーフであるトランプのスート=タロットカードの考え方です
・タロットが象徴する様々な人間性・困難・物語・異なる考え方をアルカナ別に4人のメンバーで分割します
・そして分割されたキャラクター同士で交流する内に人は己の心の在り方を見つけ、人は集団の中から「個人」として「再生」出来るよね、というアプローチを取ります

 

★補足

・タロットカードのモチーフは家庭用ゲームの「ペルソナ」シリーズの中で登場します

・ペルソナシリーズのシナリオの独自性は心理学者カール・グスタフユングの分析心理学の考え方をタロットカードと結びつけて青春群像劇ゲームにした事にあります

・「あんさんぶるスターズ!!」のシナリオ内でのALKALOIDのタロットもユングの分析心理学と結びつけて描写されているな、と思っています

 

ユングの分析心理学の中で重要視される考え方は「集団の中での個性化の過程」です
・人間は集団の中で生きている内に自分の本心を忘れてしまう、という考え方に焦点を当てています
・高校の部活動に熱を入れたい気もするけど、大学に入らないと両親を困らせてしまうから、と考えている内に日々は過ぎ、人は自分の心の現在地を見失ってしまう、というようなシチュエーションが争点になります

・現代でも自分の目標ってなんだっけ?という「いつのまにか」シチュエーションはよく起こるのではないか、と思います

 

・では「集団の中での個性化の過程問題」「心の現在地いつのまにか不明問題」に突き当たった時に人はどうしたらいいのか?
・ペルソナシリーズが提示した問題解決方法はユングの分析心理学と同じ、「他者と関わり己を見つけ、人間として再生する事」です
・そしてペルソナシリーズは自分と関わる個性豊かな他者像として「22枚のタロットカードの要素を象徴するキャラクター達」を生み出しました
・学園や集団の中で様々な悩み事や問題を抱えたキャラクターと関わり、交流を深める中で己を知り、各々が個人として再生成長する、絆の強さを個人の力に変える

・上記のような青春成長物語の王道テーマにユング心理学・タロットカードの考え方を取り入れたペルソナシリーズはゲームトレンドに大きな影響を与えました

あんさんぶるスターズ!!のALKALOIDさんの場合は他のアイドルさんと関わりながら己を知っていく様子が描かれています

【推測メモ③】「あんさんぶるスターズ!!」内でのALKALOIDのテーマって?

・現時点でのALKALOIDさんのユニットテーマのひとつに「他人を生かす奴隷」から「自分たちも本物のアイドル(かけがえのない個人)として再生する」があるんじゃないかな、と思いました

・ツバメ(幸福の王子及びキリストの昇天に付き合った鳥)・オペラ座の怪人・醜いアヒルの子・ガリバー旅行記・アリスなど御伽噺モチーフからも、御伽噺から生き方のヒントを得て再生するユング心理学の考え方を採用しているような印象を受けます

・またモチーフであるトランプ・タロットカードが登場したのは中世ルネサンス期です
・タロットカードに大規模なアレンジを加えた魔術結社黄金の夜明け団の登場は産業革命終了後です

・このように、タロットカードの歴史の山場は登場期のルネサンス期・黄金の夜明け団が登場する産業革命終了後の2回です

・人間の迷いの時代にタロットが登場していると取れるんですね

・例えば中世時代は人が人らしさを失っていた知性の暗黒時代とも呼ばれていました。のちにタロットカードが誕生したルネサンス期時代(人間性の復興時代)に移行します
産業革命も人の生き方に迷いをもたらしました
・革命というと華々しい印象がありますが、革命という事象の後には混乱に悩み迷う人々が生まれます、そのような時代にタロットは誕生します

・メインスト一部のES事変はアイドルの産業革命、とも呼ばれていました
・「産業革命」という言葉もアルカロイドのトランプ・タロットカードとの関連性が見られるんですね
・迷いの時期・革命後の混乱期に人を癒す薬、となるのもトランプ=タロットモチーフであるALKALOIDさんのらしさのひとつだと思いました

 

ALKALOIDさんは「あんさんぶるスターズ!!」で産業革命とされるES体制、メインストーリーのテーマに密接に関わりのありそうなキーワードを持つユニットだと思いましたので、筆者は今後の物語展開を楽しみにしています

ALKALOIDさんの更なる面白さはメインストーリーのその先にあるのでは?、と思いました

 

★追記

・この記事を書いてる時にALKALOID VS EDEN の構想があったらしい(没案)との情報を得ました
・神の園(概念) VS トランプやタロットモチーフ中世のルネサンスの構想だったのかもしれません
・ALKALOIDはトランプ・タロット・天体等の中世ルネサンスモチーフ、なのでEDEN(神の園)に対してトリックスター人間性の復興という意味で文化をひっくり返す文化的英雄)として機能するのかもしれませんね

あんさんぶるスターズってアイドル物語じゃなくて伝奇・歴史・政治宗教ジャンルなのでは?と常々思います
・メインストーリーの続きが気になります

 

・さて、次回からはALKALOIDの各メンバーをタロットと関連付けて読み取った筆者の感想記事が続きます。(書けたメンバーさんから随時追加予定です)

 

 

arion-seijin.hatenablog.com